その「当たり前」、本当に見えていますか?
後輩や部下ができたり、チームのリーダーを任されたり。
あるいは、親になったり、長く同じ職場に勤めていたり。
私たちは、意識するとしないとにかかわらず、少しずつ「立場が上」になったり、「慣れた環境」の主になったりしていきます。
それは、これまでの頑張りが認められた証であり、とても喜ばしいことですよね。
でも、その一方で、少しだけ怖さを感じることはありませんか?
「昔はもっと、相手の気持ちが分かったはずなのに…」
「いつの間にか、自分の意見が一番正しいと思い込んでいないだろうか…」
先日、そんな「立場」と「人の心」について、深く考えさせられる文章に出会いました。今日は、その気づきと私自身の反省を、あなたとシェアできたらと思います。
「小さな王国の王様」の悲劇
その文章には、こんな趣旨のことが書かれていました。
人は、ある程度の権力や立場を手に入れると、現状に満足してしまい、自分の弱さや間違いに気づきにくくなる。
その人がいる「小さな輪」の中では、誰も間違いを指摘してくれないため、問題は起きない。しかし、いざ環境が変わり、自分より大きな影響力を持つ人や、全く違う価値観に直面した時、その人はあっけなく自信を失い、耐えられなくなってしまう、と。
これを読んだ時、私は「裸の王様」の物語を思い出しました。
王様は、自分を肯定してくれる家来たちに囲まれるうちに、自分がおかしな格好をしているという、当たり前の事実に気づけなくなってしまった。
私たちの日常にも、これと似たような落とし穴が、たくさん潜んでいるのかもしれません。
「弱者の気持ち」を忘れない、ということ
このお話を読み、私自身も、深く考えさせられました。
社会的な立場が上がっていくことは、喜ばしいことです。しかし、それと引き換えに、かつて自分が持っていたはずの「弱い立場からの視点」を失ってしまうとしたら、それは本当の意味での成長と言えるのでしょうか。
新入社員だった頃。
右も左も分からず、質問したくても「忙しいかな…」と先輩の顔色をうかがっていた、あの日の不安な気持ち。
異動したばかりの部署で。
早く輪に入りたくて、でも、どこかよそよそしい空気を感じていた、あの日の孤独な気持ち。
そうした「弱者の気持ち」を、いつまでも忘れずにいること。
それこそが、立場が変わってもなお、人として成長し続けるために、何よりも大切なコンパスになるのだと、私は強く感じました。
心の風通しを良くするために、こんなことを試してみるのはどうでしょうか
では、どうすれば私たちは「裸の王様」になることなく、謙虚な心を保ち続けることができるのでしょうか。専門家ではない私なりに、明日からできそうなことを3つほど考えてみました。
ステップ1:あえて「反対意見」に耳を傾けてみるのは、いかがでしょうもし、あなたの意見に誰も反論しなくなってきたら、それは少し危険なサインかもしれません。「何か、別の視点や考え方はないかな?」と、意識的に自分と違う意見を求めてみる。すぐに同意できなくても、「そういう考え方もあるのか」と一度受け止めてみる姿勢が、心の風通しを良くしてくれるのかもしれません。
ステップ2:「一番下の仕事」を、たまに手伝ってみるのは、いかがでしょう慣れてくると、つい雑用や基本的な作業は、他の人に任せがちになります。でも、たまにはコピー取りや、掃除、新人が担当するような業務を、「手伝うよ」と声をかけて一緒にやってみる。そうすることで、現場で今、何が起きているのか、下の立場の人が何に困っているのかを、肌で感じることができるのではないでしょうか。
ステップ3:自分の「失敗談」や「弱み」を話してみるのは、いかがでしょう立場が上になると、つい完璧な自分を演じようとしてしまいがちです。でも、勇気を出して、「私も昔、こんな失敗をしちゃってね…」と、自分の弱みを話してみる。それは、周りの人の心をほぐし、「この人にも相談していいんだ」という、本当の意味での安心感と信頼関係を生み出してくれるかもしれません。
まとめ:本当の強さとは、自分の弱さを知っていること
本当の成功者、本当に強い人とは、決して自分の弱さを見せない人のことではないのかもしれません。
むしろ、自分の弱さや、未熟さをちゃんと知っていて、いつでも「自分はまだまだだ」と学び続ける姿勢を持っている人こそが、どんな環境の変化にもしなやかに対応できる、本当の強さを持った人なのではないでしょうか。
私も、どんな立場になっても、「弱者の気持ち」という原点を忘れずに、日々を謙虚に過ごしていきたい。この学びを通して、そう心に誓いました。



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