うまく話せない…と悩むあなたへ。言葉より「心」を届ける、たった一つのコツ

会議での発表、大切な人への想い、ちょっとした自己紹介。
私たちは日々、言葉を使って何かを伝えようとします。

でも、頭の中では言いたいことがまとまっているのに、いざ口に出そうとすると、言葉に詰まってしまったり、緊張で声が震えてしまったり…。

「どうして、自分はうまく話せないんだろう」
「もっと流暢に話せたら、相手にもっと伝わるのに」

そんな風に、うまく話せない自分に落ち込んでしまった経験は、誰にでもあるのではないでしょうか。

何を隠そう、私自身も緊張すると言葉に詰まってしまうことがあるため、人前で話すことには、今でも少し苦手意識があります。

しかし先日、そんな私の「うまく話さなきゃ」という思い込みを、優しく溶かしてくれるような、ある大学生の感動的なお話に出会いました。今日は、その気づきをあなたとシェアしたいと思います。

そのお話は、吃音（きつおん）という、言葉がスムーズに出てこない症状に悩みながらも、自分を変えたいと願う一人の大学生、Mさんの物語でした。

彼は、自分の弱さと向き合うために、勇気を出して大学のスピーチコンテストに応募します。しかし、本番が近づくにつれて、「うまく話せるだろうか」という不安は大きくなるばかり。

そんなある日、偶然出会った一人の教授に、彼は自分の悩みと吃音のことを打ち明けます。すると、教授は静かにこう言いました。

「私も若いころ、吃音に悩んでいたんだよ。でも、覚えておいてほしい。大切なのは、言葉の流暢さではない。心からの言葉にこそ、本当の力があるんだよ」

この言葉に心を動かされたMさんは、それまで練習してきた「うまく話すため」の原稿を、その夜、すべて書き直したそうです。

うまく見せるためじゃない。自分の本当の思いを、正直に、自分の言葉で伝えよう、と。

コンテスト当日。Mさんの声は、緊張で震えていたかもしれません。言葉に詰まることも、あったかもしれません。

しかし、自分の不安や悩み、そして将来の夢について、正直に、懸命に語った彼のスピーチは、多くの聴衆の心を打ち、「心に響くスピーチ賞」という、何よりも価値のある賞を受賞したのでした。

このMさんの物語を読み、私は、彼の挑戦する勇気に、ただただ心を打たれました。正直なところ、私なら「スピーチコンテストに出場する」という、その大きな一歩を踏み出すことすら、難しかっただろうと思うからです。

そして、教授の「心からの言葉に力がある」という言葉。
この言葉は、まるで私自身に語りかけられているかのようでした。

私たちはつい、「どうすれば、うまく話せるか」「どうすれば、賢く見られるか」といった、言葉の「技術」にばかり気を取られてしまいます。でも、本当に大切なのは、そこではなかったのです。

たとえ言葉が不器用でも、つたなくても、その根底にある「心」は、必ず相手に伝わる。
Mさんのスピーチは、そのことを何よりも雄弁に証明してくれています。

もし、あなたが「うまく話せない」と悩んでいるのなら、今日から少しだけ、意識を変えてみませんか。

飾らない、ありのままの言葉。
それこそが、人の心を最も深く揺さぶるのかもしれません。

私もこれからは、うまく話そうと気負うのではなく、たとえ不器用でも、誠実に思いを伝えようとする姿勢を、何よりも大切にしていきたいと思います。

あなたの言葉は、決して誰かの言葉の代わりにはなれません。
あなたの心から生まれた、世界にたった一つの、大切な宝物なのですから。