「私には、世界を変えるような志なんてない」
「七転び八起き」
この言葉を聞くと、どんな人をイメージしますか?
どんな困難にも屈しない、強靭な精神力を持ったスーパーヒーローのような人でしょうか。
それとも、世界平和や社会改革を掲げて突き進む、情熱的なリーダーでしょうか。
ふと自分の胸に手を当ててみると、「私にはそんな立派な信念なんてないなぁ」と、少し後ろめたい気持ちになってしまうこと、ありますよね。
日々の生活を回すだけで精一杯。
「世の中のために」なんて大それたことは言えないし、自信もない。
でも、本当にそうでしょうか?
今日は、そんな私たちが無意識のうちに持っている「立ち上がるための小さな魔法」について、コーヒーでも飲みながら一緒に考えてみませんか。
私が転んでも起き上がれる理由、それは「家族」でした
実は先日、ある場所で「七転び八起き」の話を聞く機会がありました。
昔ながらの玩具「起き上がりこぼし」は、何度倒されてもすぐに起き上がりますよね。
あれは、人形の中にしっかりとした「重り」が固定されているからなんだそうです。
そして、人間にとってのその重りとは、「確固たる信念」や「志」である、と。
正直なところ、その話を聞いた直後の私は、少し困惑してしまいました。
「信念かぁ…。私には『困っている人の役に立ちたい』とか『伝統を守りたい』みたいな、カッコいい言葉は出てこないな」と。
でも、ふと思い返してみたんです。
仕事で大きなミスをして落ち込んだ時。
人間関係で悩んで、もう会社に行きたくないと思った時。
それでも私が、次の日の朝には布団から出て、電車に乗ってこれたのはなぜだろう?
私の頭に浮かんだのは、高尚なスローガンではなく、家族の顔でした。
「私がここで挫けてしまったら、家族との生活はどうなる?」
「週末に子供と遊ぶ約束をしているじゃないか」
私が再び立ち上がれた理由は、とてもシンプルで、個人的で、泥臭いものでした。
「家族のため」。
ただそれだけだったのです。
でも、その気づきが、私の中のモヤモヤを晴らしてくれました。
「なんだ、これでいいんだ」って。
世界を救うような志じゃなくても、目の前の大切な人を守りたいという思い。
それこそが、私という人間を支える、最強の「重り」だったのです。
「誰かのために」は、自分を強くする一番の薬
「起き上がりこぼし」の重りって、外からは見えませんよね。
どんなに激しく揺れていても、中心にある重りがどっしりと構えているから、必ず元の姿勢に戻ることができる。
私たちの心も同じかもしれません。
その重りの正体は、教科書に載っているような立派な言葉である必要はないんです。
「家族においしいご飯を食べさせたい」
「ペットのために暖房費を稼がなきゃ」
あるいは、「同僚に迷惑をかけたくない」という責任感かもしれません。
自分のためだけに頑張ろうとすると、限界が来たときに「もういいや」と糸が切れてしまいがちです。
でも、「自分以外の誰か」が理由になった瞬間、私たちは不思議なほどの底力を発揮します。
「誰かのために」という想いは、恐怖や不安を上書きするほど強いエネルギーを持っているんですよね。
そして、その対象は少しずつ広がっていくものなのかもしれません。
最初は「家族」という小さな円だったものが、仕事を通じて「お客様」や「職場の仲間」へと広がっていく。
「あの人の役に立ちたい」「あの人の笑顔が見たい」。
そう思える相手が増えれば増えるほど、私たちの心の重心は低く、安定したものになり、ちょっとやそっとの風では倒れない「しなやかな強さ」を持てるようになるのではないでしょうか。
大それた信念がなくても大丈夫。
あなたの心の中にある「あの人のために」という温かい気持ちこそが、あなたを何度でも立ち上がらせる、立派な「志」なのです。
心の「重り」を大切にする3つのステップ
立派な目標を掲げなくても、私たちは十分に強くあれます。
明日からできる、自分の心を安定させるためのヒントを、私なりにまとめてみました。
ステップ1:自分を支えている「身近な存在」を認めてみるのは、いかがでしょう?
「家族のためなんて、ありきたりだ」なんて思わないでください。
あなたが辛い時に思い浮かべる顔、それがあなたの最強のアンカー(錨)です。
「私が頑張れるのは、〇〇がいるからだ」。
まずはその事実を、誇らしく認めてあげてください。
手帳の隅っこに、大切な人の名前や写真を貼っておくのもいいかもしれませんね。
ステップ2:「ありがとう」の数だけ強くなると考えてみるのは、いかがでしょう?
もし、「家族のため」という円を少し広げたいと思ったら、職場の仲間やお客様へ意識を向けてみませんか?
何か特別なことをする必要はありません。
「この仕事を片付けたら、あの人が助かるかも」
「このメールを送れば、お客様が安心するかも」
そんな小さな「お役立ち」を積み重ねていくイメージです。
誰かからの「ありがとう」を想像することは、心の重りをより大きく、確かなものにしてくれます。
ステップ3:転んだ自分を「起き上がる途中」だと捉えてみるのは、いかがでしょう?
生きていれば、派手に転んでしまう日もあります。
そんな時は、「ダメな私」と責めるのではなく、「今は起き上がりこぼしが揺れている最中だな」と客観的に見てみませんか?
重心(大切な人への想い)さえしっかりしていれば、時間はかかっても必ず起き上がれます。
揺れること自体は、悪いことじゃないんです。
「揺れながらも戻ろうとしている私、けっこう健気だな」と、自分を応援してあげてください。
あなたの「普通」の愛が、あなたを支えている
「世界を変える」なんて言えなくてもいい。
「歴史に名を残す」なんて思わなくてもいい。
ただ、今日家に帰って「ただいま」と言う相手がいること。
明日、職場で「おはよう」と声を交わす仲間がいること。
そんなごく普通の、身近な愛や繋がりが、私たちを七転び八起きのスーパーマンにしてくれています。
だから、自信を持ってください。
あなたはもう、十分に確固たる「重り」を持っていますよ。
私も今日は、家族にお土産でも買って帰ろうと思います。
それが、明日また私が頑張るための、一番のエネルギーになるからです。


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