「思っていたのと違う」その一言が心を折る
「あ、ごめん。やっぱりこっちの方向性でお願いできる?」
「うーん、なんかイメージと違うんだよね」
締め切りギリギリ、渾身の力を込めて提出した成果物に対して、この言葉が返ってきた時の絶望感といったらありません。
「えっ、最初の打ち合わせでそう言いましたよね?」と喉まで出かかる言葉を飲み込んで、ため息交じりに修正作業に入る。
気づけばスケジュールはボロボロ、残業続きで心も体もヘトヘト…。
特に、正解のない仕事や、相手の好みが関わる業務では、こうした「認識のズレ」による手戻りが起きがちです。
「私のスキルが足りないのかな」と落ち込む前に、少しだけ仕事の進め方を見直してみませんか?
今日は、終わらない修正ループから抜け出し、気持ちよく仕事を終わらせるためのヒントをお話しします。
速さよりも大切な「ゴールの共有」
以前の私は、とにかく「レスポンスの速さ」こそが正義だと思っていました。
依頼を受けたら、詳しい話を聞くよりも先に「まずは形にしてみます!」と勢いよく作業に取り掛かる。
早く着手すれば、それだけ早く終わると信じていたのです。
でも、現実は逆でした。
「とりあえず」で作ったものは、相手の頭の中にあるイメージとズレていることが多く、結局「ここを直して」「やっぱりあっちも」と、修正のラリーが延々と続くことに。
想定していた倍以上の時間がかかり、相手も私も疲弊してしまうことが何度もありました。
そんな失敗を繰り返して、ようやく気づいたのです。
スケジュールを守れない一番の原因は、作業スピードが遅いからではなく、この「修正にかかる時間」を甘く見ていたからだと。
そこで私は、勇気を出して最初のスタイルを変えてみました。
すぐに作業に入るのをグッとこらえ、その分、最初の打ち合わせにたっぷりと時間をかけるようにしたのです。
「おしゃれな感じで」と言われたら、「それはシンプル系ですか?それともカラフル系ですか?」としつこいくらいに確認する。
すると驚いたことに、作業に取り掛かる時間は遅くなったのに、全体の終わる時間は圧倒的に早くなったのです。
「そうそう、これが欲しかった!」と一発でOKをもらえることが増え、何よりお互いにストレスなく仕事ができるようになりました。
「急がば回れ」は仕事の最短ルート
仕事において、私たちはつい「手を動かす時間」を短縮しようとしがちです。
でも、料理に例えてみてください。
お客さんが何を食べたいのか(和食か洋食か、アレルギーはあるか)をよく聞かずに、見切り発車でカレーを作り始めてしまったらどうでしょう?
「今日はパスタの気分だったのに」と言われたら、作り直す時間は膨大なロスになりますよね。
仕事もこれと全く同じです。
最初のヒアリングやすり合わせは、一見すると「何も生み出していない時間」のように感じるかもしれません。
しかし、ここで相手と「同じ景色」を見ておくことこそが、実はゴールへの最短ルートなのです。
「丁寧な打ち合わせ」は、時間の浪費ではなく、未来の時間を買うための「投資」です。
相手の意図を深く理解しようとする姿勢は、信頼にもつながります。
「この人は私の考えをちゃんと分かってくれる」
そう思ってもらえれば、多少の修正があったとしても、スムーズに進むものです。
認識のズレをなくす3つの「確認」
では、具体的にどうすれば「手戻り」を防げるのでしょうか。
明日から実践できる、相手とのイメージを合致させるための3つのステップを考えてみました。
ステップ1:曖昧な言葉を「翻訳」してみるのは、いかがでしょう?
「いい感じで」「早めに」「かっこよく」。
こうした形容詞は、人によって受け取り方が全く違います。
「早めにというのは、今日中ですか?それとも今週中ですか?」
「かっこいいというのは、具体的にどの企業のサイトに近いイメージですか?」
曖昧な言葉が出てきたら、お互いが共通認識を持てる具体的な言葉や数字に「翻訳」して確認する癖をつけてみましょう。
ステップ2:言葉だけでなく「視覚」で共有してみるのは、いかがでしょう?
言葉だけでイメージを共有するのは限界があります。
「こんな感じですか?」と参考画像を見せたり、簡単なラフ画を描いて見せたりする。
「百聞は一見にしかず」です。実際に目に見える形にすることで、「そうそうこれ!」「いや、ここはもっとこう」と、具体的な議論ができるようになります。
ステップ3:完成度20%で「方向確認」をしてみるのは、いかがでしょう?
100%完成させてから提出して「全部やり直し」になるのが一番のリスクです。
骨組みができた段階、あるいは20%くらいの出来で、「方向性は合っていますか?」と一度見せてしまいましょう。
早期の段階なら修正も簡単ですし、相手も「一緒に作っている」という安心感を持ってくれます。
結び:丁寧さは、相手への敬意であり、自分への優しさ
「スケジュールを守る」ということは、単に早く作業することではありません。
相手の頭の中にある「正解」を、一緒に丁寧に探し当てていくプロセスそのものです。
最初は「細かすぎるかな」と心配になるくらい確認しても大丈夫。
その丁寧さは、必ず「スムーズな進行」という形で、あなたと相手の両方を助けてくれます。
私も次の仕事では、PCを開く前に、まずじっくりと相手の話に耳を傾けてみようと思います。
「急がば回れ」の精神で、確実にゴールを目指していきましょうね。



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