「経験がない」は、最強の武器になる。名指導者に教わった、個性を伸ばす「白い目」の持ち方

気づきと学び

こんにちは。「こころのコンパス」へようこそ。 専属編集者の私と、シロクマの「こころ」が、あなたの今日にそっと寄り添います。
「もっと経験を積まないと、人に教える資格なんてない」 そんなふうに自分を追い込んで、一歩踏み出せずに足踏みしてしまうことはありませんか?
今日は、「経験がない」は、最強の武器になる。名指導者に教わった、個性を伸ばす「白い目」の持ち方について、少しだけ視界が明るくなるお話を届けさせてください。

【体験談】「正解」を押し付けて失敗した、苦い記憶

かつての私は、何事も「経験こそが正義」だと信じ切っていました。
職場でも、後輩ができると「先輩として完璧な背中を見せなきゃ」と必死。自分の成功パターンを「これが最短ルートだよ」と熱心に教え込んでいたんです。でも、結果はどうだったか。後輩はどんどん元気を失い、私の顔色を伺うようになってしまいました。
「どうして分かってくれないんだろう」
そんなモヤモヤを抱えていた時、長男が通う中学校の野球部で、ある先生に出会いました。その先生は、なんと野球未経験者
「技術的なことは教えられないのに、大丈夫なのかな?」
正直、最初はそう思いました。しかし、先生の考え方を聞いたとき、私は自分の間違いを突きつけられたような衝撃を受けたのです。
「私は野球をやってこなかったので、自分の経験を押し付けることはしません。経験というフィルターがない分、生徒一人ひとりと真っ白な状態で向き合って、その子に合った方法を、私自身が勉強させてもらっているんですよ」
先生はそう言って笑っていました。 その言葉通り、先生は誰よりも生徒を観察し、それぞれの体格や性格に合った練習を一緒に考えていました。自分の色で塗りつぶさない。 それこそが、子供たちの多様な芽を伸ばす「才能を育てる才能」だったのだと気づかされました。

禅の教えが教えてくれる「初心」の力

この先生の姿勢は、ある有名な本の一節を体現しているようでした。
曹洞宗の僧侶、鈴木俊隆氏の著書『禅マインド ビギナーズ・マインド』(サンガ出版)の中に、こんな言葉があります。

「初心者の心には、多くの可能性がある。しかし、専門家の心には、それが少ない」
私たちは経験を積むほど、「こうあるべきだ」という知識の壁を作ってしまいがちです。その壁は自分を守ってくれますが、同時に相手の可能性を遮る「色眼鏡」にもなってしまいます。
「何も知らない」と自覚している状態(初心)だからこそ、相手のありのままの姿をリスペクトし、共に新しい発見を楽しむことができるのです。

経験の眼鏡を外して「観察」するための3ステップ

専門的な知識よりも大切なのは、相手を信じて見守る「白い目」を持つことです。私が先生から学び、意識している3つのステップをご紹介します。

  • 「私の時は…」という言葉を飲み込んでみる アドバイスをしたくなった時、まずは深呼吸。自分の過去の成功体験は、今の相手には当てはまらない「別次元の話」かもしれないと自分に言い聞かせます。
  • 「どうしてそう思ったの?」と背景を聞く 自分の想定と違う行動を相手が取った時、すぐに修正するのではなく「その選択をした理由」を尋ねます。そこには、自分の古い地図には載っていない「新しい宝島」が隠れているかもしれません。
  • 相手の「取扱説明書」を白紙から作ってみる 「この人はこういう人だ」というレッテルを一度全部剥がしてみます。毎日、新しい人に会うような新鮮な気持ちで観察すると、昨日まで気づかなかった相手の強みが見えてきます。

まとめ:教えることは、共に学ぶこと

経験豊富なベテランよりも、未経験の先生が相手の心を開くことがある。
それは、そこに「教えてあげる」という上下関係ではなく、「一緒に考えよう」という横並びの姿勢があるからではないでしょうか。
もし今、あなたが自分の経験不足に不安を感じていたり、逆に経験があるゆえに壁にぶつかっていたりするなら。一度、その重たい荷物を横に置いて、手ぶらで相手の前に立ってみてください。
そこにはきっと、今まで見えなかった新しい成長の芽が見つかるはずです。私も、あの先生のような「教えてもらう」姿勢で、大切な人と向き合っていきたいと思っています。

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